「神の使者」の原題は、「The Disappearance Of Universe」です。
つまり、宇宙なんて幻だよ、バーチャルな世界だよ、真の世界には時間も空間もなく始まりも終わりもなく、全ては一つで完全に満ち足りた世界なんだよ、ってことです。
「ワンネス」、「全ては一つ」これらはスピ的にはよく言われていることで、みんな究極的にはそうなんだって知ってると思います。
でも、今はこの現実世界に生きてるし、とそれを意識して生きてる人はあまりいないんじゃないでしょうか。
この本は著者のもとに現れた二人のアセンディッド・マスターとの17回に及ぶ対話の記録ですが、まさに、この真理で現実世界を生きるように、という話です。
エゴに支配されているので、リアルに感じているだけで、全てあなたが無意識に創っている世界なんですよ。
無意識だから、自分のせいだとは思えないかもしれないけど、全部自分の心の反映です。
だから、不平不満を言ったり、他人や制度や環境を批判するのではなく、全てを赦しなさい。
それが覚醒への道です。
簡単に書くとそういう内容です。
それを納得してやるために、いろんな説明がありますが、「奇跡のコース」という本がイエスの真の教えなので、そのテキストを読み、ワークを実践するのが一番の早道だといっています。
「奇跡のコース」は私が生まれた頃にあるアメリカの医学者が受けたメッセージを速記し、それを読み上げたものを同僚の医学者がタイプしたもので、7年かかって完成したようです。
だから、1970年代ですが、正式な日本版が出たのは2010年です。
彼らはどちらかというと唯物論者だったので、頭おかしいと思われたくないと、最初はこのメッセージを秘密にしていたんですが、最終的には本になって広まりました。
ただ、自学自習教材なので、著者が教祖のようになったりはしていません。
「神の使者」の著者も「奇跡のコース」の存在は知ってましたし、スピ系の探求はしてたようですが、読んではいなかった時にマスターが現れて、対話が始まったようです。その後テキストを読み、ワークも始め、17回の訪問は数年にわたって行われ、本が出たのは、9年後だそうです。
日本版は2004年に出てますので、順番としては逆ですが、この順番の方がいいと思います。
先にテキストだと挫折したかも。
悟りへの道は人それぞれでで、いろんな道がありますが、私にはこれが合ってるように感じます。
なにせ、幼い頃からキリスト教で育ってきましたし、ここで言われているスピリチュアルなことはここ数年で学んできたことから全て納得いくものでしたので。
ただ、イエスの教えですが、新しいキリスト教ではありません。あれはパウロ教ですから。
ちなみに、この本での特徴は「赦す」というキーワードです。
愛や感謝よりもダントツに多いです。たぶん、キリスト教社会だからじゃないかという気もします。
「罪悪感」も非常に多いですからね。
ちょっと違和感があるかもしれませんが、そこに慣れればあとは素晴らしい話ばかりだと思います。
あと無辜という言葉もよく出てきます。こんな言葉知らなかったんですが、「むこ」とは罪のない状態のことで、幼子のような心ってことですね。
どんな風に見えても全ての人の本質は無辜で、嫌な風に見えるのは自分の無意識にある罪悪感が反映されているせいなので、赦しなさい。
そんな感じですね。
でも、著者がそれを実践していくと、やはり目の前の現実は改善していったり、いろんな悪いと思われることも気にならなくなっていったりします。
面白かったのは失敗と思われるような判断も、実は必要なことだったりするということです。
ある映画を観たら超つまんなかったそうですが、他の映画ではなく、それを選択したことで、そのあと遭う予定だった事故に遭わずに済んだとあとでマスター達に言われます。
結局レッスンのためにシナリオは限りなく用意されてますが、学習が進めば必要なくなり未来も変るのです。
もちろん、時間などないので、全て終わったことで決まったことですが、努力や判断は必要なのです。
未来は決まってるなら何もしなくてもいいというわけではありません。
なぜなら、この現実と見える夢の世界を造り出しているのは神ではなく、自分だからです。
全ては一つですが、この世界では同じ世界にいるように見えても、それぞれが違う宇宙を体験しているので、ただ傍観者でいればいいわけではありません。
でも、しょせん夢ですから深刻になることも不要です。笑いながら楽しみながらこの夢の中で目覚めて夢の外に出ましょう。
ってとこですね。
さて、実はマスター達は近未来から来てるんですが、過去にはイエスの12使徒のトマスとタダイだったそうです。
でも、12使徒も生きてるうちからマスターだったわけではなく、その後みんな20回以上の転生を重ねてマスターになったようです。
悟りの世界も段階がありますから、一足飛びにマスターになるのはなかなか難しいようです。
そのマスターになった直前の転生では理不尽な仕打ちを受けるんですが、それを乗り越えられてマスターにまでなれたのは、「奇跡のコース」があったからだそうです。
霊性の進化と霊的体験とは全く関係ないそうです。
霊的体験してるから悟ってる、凄い、と思わない方がいいですね。
「自分が前よりも愛に満ちているか、前よりも安らかか、前より赦してるか、自分の人生に責任を取っているか、批判する愚かさを理解しているか」だそうです。
もちろん、霊性の進化に伴って、神秘体験が起きてきたりはします。
著者も振り返ると妻が天にも届くほどの光の柱に見えたり、イエスに触れられたり、声を聞いたりもしています。
ちなみに、マスターはこの世界が夢で現実でないことを完全に理解してるので、時間や空間を超越しています。
一瞬にして著者を別の場所に連れていったり、時間を短縮したりしています。この辺はヒマラヤ聖者達と同じですね。
ただ、真実を人に告げることがいつも正しいとは限りません。
愛する人の死にうちひしがれている人に「全ては幻想だから悲しむことはない」などと言うことは愚か者のすることです。
遺族が悲嘆にくれるのは当り前なので、他人の感情や信念を尊重しなさい、ともマスターは言っています。
病気は現実とみえる世界のあなたが作りあげたものではないので、病気になったからといってガッカリすることはありません。
「あなたがこのレベルでガンを選んだわけじゃないのは、奇形で生まれることを赤ちゃんが選んでいるのではないのと同じこと」
つまり、顕在意識で選んでいるんじゃなく、もっと深い(高い)レベルで決定されたことだということです。
ただ、その後、自分自身の選択力と接触して苦痛を和らげたり、治したりすることもできますが。
病と癒しについてはこう言われています。
「すべての癒しはある種の赦しの結果であり、すべての赦しは自己治癒につながる」
「病気とは心のものであり、身体とは何の関係もない」
「あなたが病と見、痛みと見、弱さと見、苦しみと見、喪失と見たものは、あなた自身が地獄にいて無力であることを認めろという誘惑にほかならない」
「正しい心でいるというのは、必ずしも医薬品を投げ捨てたり、医師やセラピストにかかるのを拒否することではない。(中略)ある薬を飲んで気分が良くなったのなら、それは無意識の心が受け入れられたと感じたからだ」
「様々な癒しの方法を嫌わないこと、そういう方法を使ったからといって人を見下さないこと。(中略)ただ、同時に正しい心の癒しを利用すること」
だから、本来正しい心で考えられたら症状も消えていくのですが、急にマスターレベルになれるわけではないので、徐々に進歩していけばいいということだと思います。
スピリチュアルな癒しについての絶対的な真理は
「宇宙そのものが消えるべき症状である」
です。この本の本来の題名ですね。
最後にこの著者と二人のマスターの関係が明かされるのですが、そこはネタバレするとつまらないので、書きません。
図書館に続編「不死というあなたの現実」が置いてあたので、そっちも予約しました。
全て鵜呑みにするのはよくないですが、「神の使者」はいい本だと思います。
買うつもりはなかった「奇跡のコース」も購入しましたが、これはテキストです。分厚いし、要点は「神の使者」で把握しましたから、少しずつ読むことにして、今日からワークを始めてます。
ワークの翻訳本は出てませんが、ネットに出版社がアップしてるので、それを見ながらやります。一日に一つ以上やっちゃいけないので、終わるのは最短で1年後です。
「レッスンの内容は、心の視点を変える訓練であり、一日に10分から30分程度の訓練となる。いわゆる肉体的修行や宗教的儀式、戒律、ボランティア的な実践は含まれない」とWikiにはあります。
ちなみに、レッスン1は最初だからか1分間のワークを朝、晩の二回するだけの簡単なもので、
「この部屋の中で私が見ているものには何も意味がありません」
これを身の回りのものに適用していくものでした。
だんだん難しくなっていくのかな。今後が楽しみです。